
コメダの森の今――NPO法人「森林の風」インタビュー――
- 2025年5月22日
- 気候変動への対応, 廃棄物削減と資源循環の推進環境
コメダ珈琲店のお店の内外装には、多くの木材を使用しています。
木ならではのあたたかみは、“くつろぐ、いちばんいいところ”の要。ならば、木を守る活動もコメダの重要な役割のひとつです。
森は木材になるだけでなく、さまざまな恩恵を私たちにもたらしてくれます。
たとえば、CO2の吸収。植物はCO2を吸収することで成長していきます。森が十分に管理されていれば、その成長によりCO2吸収量がどんどん増え、温暖化や気候変動への影響を軽減することができます。また、その地域の水害を防止したり、生物の住処となることで生物多様性を守ることにもつながります。
ですが、林業の衰退によって十分に管理されず放置される森も多くあり、木が痩せて根を張らなくなり、地滑りの原因になることもあります。
コメダでは、2017年から森の保全活動を始めました。三重県の企業の森活動に参画し、菰野町の人工林を「コメダの森」として、月に1回、従業員が実際に森を訪れて道の整備や枝打ちを行なっています。かつて6haだった森は28haに拡張され、現在までに9haが整備されました。今年、コメダの森の整備が10haを超えるそうです。それに伴い、毎年のCO2吸収量計測結果では、2024年のコメダの森は、2023年の約55t/年から約13t吸収量が増え、約68t/年ものCO2を吸収している、ということが分かりました。
整備活動をサポートしてくれる強力なパートナー、NPO法人「森林の風」の瀧口さんは、企業とパートナーシップを結んで保全活動を行うことについて、実のある活動ができると笑顔で教えてくれました。
「企業とタイアップすると、できることが広がるんだよ。一つの企業が自分たちの森を1ha良くすれば、10企業あれば10haになる。私たちも数がこなせるようになる。関わってくれる人が増えれば増えるだけ、森がきれいになってく。」
森がきれいになっていく。その言葉通り、コメダの森も整備が進むにつれ、地面まで光がさす、明るい森になってきました。
2024年には100本以上の植樹を行っており、2025年には200本以上が植えられる予定とのこと。その植樹は、スギやヒノキではなく、広葉樹や低木も多いそうです。
古い木を伐ることも、森を守ることにつながるんだと、瀧口さんは言います。
「他の木の生育を邪魔してしまう木や、もう育たないことが分かっているような木は、切らないと他の木に影響が出るからね。切った木を再利用するのも大事だが、切った丸太は手作業で森から出すことを忘れちゃいけない。そうやって下の植生を守りながら間伐して、地面に陽光がさすようになると、新しい芽が生えてくる。そこに、土地にあった苗を植えれば、森が豊かになっていくんですよ」
「コメダさんのように、平日に月1回誰かしら来てくれる、というのは、それだけ真剣だってこと。ありがたいね。イベントでなく、保全をしたいという想いが伝わる。年間200人が実際の保全活動に参加してくれるのはコメダさんくらいですよ。圧倒的に多い。」
「うちの会(NPO法人)を始めたときの目的として、林業に携わる人材を育成したいという想いがある。森に来てくれた社員さんが定年後にでも、林業もいいなって思ってくれたらいいし、コメダの広島の人とかが地元でこういう森があるよって言って、活動がつながっていったら良いと思ってやっている。」
たしかに、コメダの森保全活動への参加者は毎年増え続けています。それには、コメダの森の意義が従業員に伝わっていることと同時に、単純に森の活動が「楽しい」からかもしれません。
「空気が良いからね。良い気持ちになってくれたらありがたいね。コメダ部みたいなファンが来たりしてるのも大歓迎だよ。森は人が入ってこそ価値があるものだと、地主さんもよく言っている。コメダさんは“くつろぐ、いちばんいいところ”が良いところなんだから、森にもくつろぐ、いちばんいいところを作ろうよ。って思っているんです。」
森にもくつろぐ、いちばんいいところ。コメダらしく、これからもコツコツと保全活動を行なっていきます。