KOMEDA COMES TRUE.

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コメダ創業50周年を迎え、スタートした“心にもっとくつろぎを”プロジェクト。その一環としてコメダと三菱商事株式会社でスタートした「くつろぎのコーヒー豆安定調達活動」。どのようにして生まれたのか…?そこに秘められた想いとは?三菱商事株式会社 生活産業グループ Olam事業部長北川淳一氏をお招きして、弊社代表の臼井がお話を伺いました。
写真左:株式会社コメダ 臼井 興胤  写真右:三菱商事株式会社 生活産業グループOlam事業部長北川 淳一

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三菱商事が惚れ込んだオラム社とは

臼井 : 今回の「くつろぎのコーヒー豆安定調達活動」は三菱商事さんから農産物事業会社Olam International Limited.(以下オラム社)と引き合わせていただいたことがとても大きなきっかけなのですが、そもそもなぜ三菱商事さんはオラム社と取引を始めたんですか?

北川 : オラム社は農作物生産者の課題、例えば貧困問題などもそうですが、そういった社会課題を解決していこうという姿勢に強く共感したのが最大の理由ですね。貧困の支援と聞くと、私たちは例えばコンビニの募金箱などからの寄付を想像しがちです。でも、オラム社はそうではないんです。例えるなら、お腹をすかしている人たちに魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えるんです。

臼井 : それは、自立のために技術支援をしているということですか?

北川 : はい、まさにそうです。農家と一緒によりよい栽培方法などを一緒に悩みながら考え、品質や収穫量を向上し、できた作物を適正な価格で買い取る。そして後世までコーヒー豆の栽培がつづくためには、農家の暮らしが安定することが大事。それには、彼らが自立することが一番大事なことなんだと。そんな考え方にすごく共感して、オラム社の活動に賛同したんです。

臼井 : 具体的にオラム社はどのようなことをしているのですか?

北川 : オラム社は様々な取り組みを行っています。例えば、先日御社の高橋専務にご訪問いただいたコロンビアのコーヒー農園では、オラム社は社員を取引先の農園に派遣して、分かりやすいチャート図を使って生産技術を教えています。また、これはコーヒーではなく綿花農園のお話ではあるのですが、生産農家の方々は、まだまだ識字率が低い為、それでもきちんと生産技術を伝えるために紙芝居を使って指導したりしているんです。「収穫した綿に不純物が混ざらないように大切に扱うと品質が向上するんだよ」と、とても丁寧にレクチャーしています。

臼井 : そうすることで生産農家の方々も自立ができて、品質の良い物を生産することで貧困などの社会課題を解決していく。そして、次世代に産業と生活をつなげていくことができる。それは結果的に、農産物事業会社であるオラム社にとって継続的なビジネスパートナーが増えていくことに繋がっていくという・・・。なるほど、その考え方には私たちコメダも共感します。

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「次世代へつなげていく」コメダとオラム社との共通点

北川 : コメダ珈琲店のお店で出すコーヒー豆には当然こだわりをお持ちだと思いますが、今後そのこだわりに磨きをかけるご予定は?

臼井 : 大手のコーヒーチェーンは自社農園を持つなど、それぞれコーヒー豆にこだわりを持っていますよね?私たちも、もちろんそういった品質や味へのこだわりは持っています。今後は、品質だけでなくそれに加えてコメダのお店で提供させていただくコーヒー豆にストーリーを持たせたいと思っているんです。

北川 : コーヒー豆にストーリー!?いいですね!

臼井 : コメダが生まれた地元の名古屋って、商品の公正な取引を積極的に推進する「フェアトレードタウン」なんですよ。我々コメダも地元の活動に協力できればと、いわゆる「認証豆」の使用も考えました。しかし、どうしてもお客様へ提供する商品価格への影響が避けられなくて…。

北川 : 公正な取引で生産農家に適正な利益をもたらすことは、とても立派で大切な考え方ですが、世界中で生産されているコーヒー豆のうち、フェアトレードと認証を受けている豆の世界の貿易流通に占める割合は実際まだ大きくはないですからね。認証豆を栽培していない大多数の農家の方々はどうなるのか…、所得の差が埋まらないのでは無いか、という声も聞かれます。

臼井 : 本来はすべてのコーヒー豆が公正な取引であるべきなんですよね。わずかなコーヒー豆をフェアトレードとして取引しても、私たちが目指すべき持続可能な社会にはならないんじゃないかと。それ以外の大多数の生産農家の方々を置き去りにしてしまっては本末転倒ですから。

北川 : その大多数の生産農家の方々にも正面から向き合い、できることをやっていこう、というのがオラム社の考え方なんです。彼らは真の持続可能な社会を実現するために、生産現場で農家の方々と一緒に汗をながしているんです。私たち三菱商事はそんなオラム社の姿に惚れ込んだというわけです。

臼井 : 私たちも、オラム社の考え方、そしてそれに基づいた取り組みに心から賛同します。オラム社は、生産者から消費者の皆さんへお届けする過程を、シンプルに、効率的に、無駄な仲介業者を通しませんよね?私たちも、生産農家の方々がより良いコーヒー豆を作る技術が向上し、品質の良いコーヒー豆を適正な価格で取引して生産農家の方々にもハッピーでいてほしい。コメダのお客様がお店でコーヒーを飲んでくつろぐことが、生産農家の幸せにつながっていく・・・コメダのコーヒー豆にはそんなストーリーを持たせたいんです。

北川 : オラム社は、次世代の農家のことも考えながら、日々、地道に活動している。コメダさんも、創業当時から50年間にわたりお客様の「くつろぎ」を大切にして、子供へと、そして孫へと、そのまた先の世代へと「くつろぎ」を届けていこうとされている。ここにオラム社との共通点を感じて、「ぜひお取引したい!」とコメダさんのドアをノックしたのが「くつろぎのコーヒー豆安定調達活動」の始まりでした。

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農家と二人三脚で向き合う「泥くささ」が未来を作る?

北川 : 実は私、かつてはコーヒー豆ではなく、ゴマの担当をしていたことがあるんです。ずいぶん昔のまだ若い頃ですが、当時は黒ゴマの輸入は中国に100%依存していました。それが、大洪水による大不作で契約していた原料が船積されず、非常に苦労してしまって。

臼井 : そんなことがあったんですね。

北川 : その時に、安定的な供給を図るには他にも産地を開拓することが必要と痛感しました。私たち商社は、安心安全なものを皆さんへ届けたいと思っています。当たり前ですけどね。だから当社が扱う黒ゴマは、自分の目でしっかり確かめて、信頼できるところから調達しなければと考えていた私は、東南アジアに黒ゴマを探す旅に出たんです。

臼井 : それはすごい!北川さんにもそんな無鉄砲な時代があったとは!

北川 : ええ(笑)。私が最終的にたどり着いたのがミャンマーの奥地。ピカピカの上質な黒ゴマを作っている村を見つけて「ここだ!」と思いました。しかしですね、その村では、上質な黒ゴマでわざわざゴマ油を作っていたのです。黒ゴマのまま日本に輸出すれば、もっと高値で取引されて収入が増えるのに。

臼井 : それはもったいない話ですね。その村の人たちは黒ゴマの価値を知らなかったんですね。

北川 : そこでオラム社ではないんですが、私は紙芝居を作って農家の方々から日本に良質の黒ゴマを調達するための活動を始めました。流通の過程で、収穫した黒ゴマを他の作物と混ざらないように管理する方法や、手間がかかっても、品質に厳しい日本の取引先に売ることができれば、今までの倍の収入を得ることができる、といったことを伝えたのです。当時、三菱商事のヤンゴン支店のスタッフにミャンマー語に翻訳して貰った冊子を500冊くらい作り、車のトラックに山積みにして色々な農村で黒ゴマ栽培の啓豪活動をして回りました。これを2年間くらい続けました。その甲斐あってか、今では中国に代わりミャンマーが日本向け最大の黒ゴマ輸出国になっています。

臼井 : 素晴らしい!非常にアナログで「泥くさい」仕事!しかし重要度は高いですよね!

北川 : ありがとうございます(笑)。このような地道な作業をオラム社も世界中で展開しています。栽培の現場に常駐する社員が、400万戸以上の世界の農家と正面から日々向き合っている。

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わずか1mmでもいい。地球を良くすることを考える、それが大きな一歩。

臼井 : 世界には食と農業を取り巻く様々な課題があります。

北川 : これが複雑なんですよね。例えば、アフリカでは、食べ物が手に入らずにお腹をすかせている人たちがまだ大勢いる。一方、日本では飽食で肥満やフードロスの問題がある。こういう相反する課題が同時に起こっている。他にも、天候不順も影響する。雨が不足すれば不作になり、農家の収入が減り、飢餓も起きやすい。世界の食と農を取り巻く課題は、エネルギーや都市化なども含め、色々な要素が複雑に連鎖している。

臼井 : 目先の利益だけを求めても、長い目で見ると、様々なところで弊害が出てきますよね。そうなると持続可能な社会にはならない。お金がお金を生む資本主義はどこかで疲弊してきているのかもしれませんね。社会と地球とのバランスが崩れつつある気がします。

北川 : そうですよね。

臼井 : 先日、オラム社のコーヒー部門トップの方とお話しする機会があり、なぜ、オラム社が持続可能な社会に向けて活動を始めたのか、そのきっかけを聞いてみたんです。すると、彼の娘さんが学校で生産農家の貧困について学び、彼にこう問いかけたそうです。「お父さんはこれからどうしていくの?」

北川 : 興味深いお話ですよね…。

臼井 : “その時、彼に神様が降りてきたんだ!”と僕は感じたんです。オラム社が、サステナビリティへと転換していったポイントになったのではないでしょうか。「あるところではお金があり余っているけれど、一方で貧困な国はなくならない。利益だけを求めるのではなく、利益と持続可能な世界が両立する道を目指すことによって、結果として利益を共有できるはず。」彼のこの言葉にとても感銘を受けました。

北川 : まさに変化のタイミングだったんですね。もちろん、コーヒー豆の課題を解決する取り組みだけで完璧なのか?と聞かれれば、答えはNOです。政治も経済も、人類は未だ完璧な世界を作ったことはない。もしかすると、どんなに頑張っても実現できないかもしれない。でも、少しずつでも取り組まなければいけないと思います。ここ数年で「サステナビリティ」という言葉をよく聞くようになりました。非常にいいことです。でも、何となくファッションの一部とか流行、というニュアンスで捉えている人がいるとすれば、それには少し違和感があります。

臼井 : 表面的なものでは、持続可能な社会は成立しませんよね。

北川 : 食と農の世界における主役は、オラム社のパートナーである生産農家の方々だと思っています。オラム社のような活動を地道に泥くさく続けていけば、きっと世界は少し良くなるはず。わずか1mmでもいいので世界が良くなる方向へ動けば、それだけで大きな一歩になるんです。この想いに共感していただける仲間が欲しいと思っていました。それが、コメダさんだったんです。

臼井 : たった一杯のコーヒーから始まるストーリー。このストーリーが次世代へと続いていく。そして、サステナブルの輪がどんどん広がっていく。コーヒーを飲みにくるいつものコメダのお客様が、そんなストーリーに登場して世界とつながっていることに共感していただければとても嬉しいことです!